
vol.84
September 15, 2025
笑えるけど、泣けるかも。
アニメクリエイター「ミヤサカカズヒデ」の“ふざける才能”
- #アニメクリエイター
- #キャラクターデザイン
- #Webアニメ
- #キャンサーパンサー
- #シチじん
アニメやキャラクター、CMの制作を手がけるミヤサカカズヒデさん。がん闘病の経験すら作品にしてしまう表現スタイルは、ユーモアたっぷりで、観る人の心をふっと軽くしてくれます。原点は、「自分で遊びをつくるのが好きだった」という子ども時代。Webアニメの黎明期から活動を続け、笑いとリアルのあいだを描き続けてきたミヤサカさんに、これまでの道のりや作品に込めた想い、そしてこれから挑戦したいことについて、お話を伺いました。

笑いとリアルの間で、日々を描くアニメクリエイター
――普段はどんな活動をされているんですか?
ミヤサカさん:アニメーションやキャラクターデザイン、CMなどの制作をしています。弟と一緒に「The BERICH(ビリッチ)」というクリエイターユニットとしても活動していて、テレビ番組や教育コンテンツにも関わっています。
――これまでに携わった作品について教えてください。
ミヤサカさん:KNBで夜7時に放送されている「シチじん」や、NHKEテレの「ドンマイしげるさん」や「はりきり体育ノ介」なども手がけてきました。あと最近では、自分の実体験を元にした作品「キャンサーパンサー」が話題になりました。

――「キャンサーパンサー」とはどんな作品ですか?
ミヤサカさん:自身のがん闘病体験を題材にした作品です。2020年にステージ3〜4の口腔がんと診断されて、最初は落ち込んでいました。でも数時間経った頃に、「これ、作品にできるかも」と思って(笑)。無事に退院したあと、クラウドファンディングで資金を集め、富山・長野・石川で放送しました。「奇跡の復活ストーリー」というよりは、入院中のリアルな会話や、そこで感じたことをそのまま描いた作品です。
――「シチじん」にまつわるエピソードを教えてください
ミヤサカさん:KNBさんと番組をつくることになった際、時報アニメを提案したのが始まりでした。最初の年は「シチじん」というキャラクターはまだ登場しておらず、15秒のアニメで番組紹介を行っていました。ところが翌年、それまで紹介していた番組が終了してしまって…そこで「せっかくなら新しいキャラクターをつくろう」という話になり、生まれたのが「シチじん」です。今では富山県民にとってすっかり当たり前の存在になっていて、「あれって全国区のキャラクターじゃないの?」と言われることもあるほど(笑)。いつか着ぐるみやグッズなども展開できたらと思っています!


「遊び心」から始まった表現の道
――中学・高校時代はどんな学生でしたか?
ミヤサカさん:中学生の頃は音楽が好きで、高校ではバンドを組んでライブしてました。CDはジャケットのデザインだけで選ぶ「ジャケ買い」が多くて、その頃からビジュアルに惹かれる感覚があったのかもしれません。あと…女の子も好きでしたね、ふつうに(笑)。
――アニメやデザインに興味を持ったきっかけは?
ミヤサカさん:当時2000年問題といって、「パソコンが2000年になった瞬間に暴走するかも!?」なんて噂が話題で、それが見たくて友達から中古のパソコンを譲ってもらったんです。その中には絵を描けるソフトが入っていて、試しに触ってみたら意外と上手に描けたんです。それがきっかけで看板や名刺を頼まれるようになり、いつの間にか仕事になっていました。
――子どもの頃から現在の仕事に繋がる片鱗はあったんですか?
ミヤサカさん:今思えばありましたね!小学生のとき、学校で起きた面白い話を絵にしてクラスで配って、みんなを笑わせてたんですよ。大人になってからも自分で遊びをつくるのが好きで、今でいうYouTuberみたいな企画を日常でやってた感じですね(笑)。

「芸術家」として、もっとリアルに、もっと自由に
――「昔の“バズる”は、社会を動かすレベル」って話してましたよね。
ミヤサカさん:そうそう!今は話題になったとしても、その界隈の中だけで完結してしまうことが多い。でも昔の「バズる」は、社会全体を動かすような勢いがあったんですよ。Webアニメの黎明期から活動していたので、その変化を肌で感じています。
――今後チャレンジしたいことはありますか?
ミヤサカさん:個展を開きたいですね。ネットやテレビで作品を見てもらえるのはうれしいけど、やっぱり実物をリアルな空間で観てもらうことで作品は芸術になると思っていて。グッズの販売も含めて、リアルな場で人とつながれる機会をつくりたいです。あと、手づくりの作品や工芸品などを販売・展示するクラフトフェアも主催してみたいです!
――最後に、中高生へのメッセージをお願いします!
ミヤサカさん:「親の言うことは聞くな!」…と言うとちょっと語弊があるかもしれませんが(笑)、親世代の当たり前って、実はもう20〜30年前の常識だったりするんです。これからの時代を生きるには、自分で情報を選び、判断していく力が大切。でも、礼儀とか人への思いやりは、ぜひご両親から学んでください。ふざけつつも、ちゃんと生きていきましょう!

ミヤサカカズヒデ
アニメーション、キャラクターデザイン、CM制作など幅広い分野で活躍するアニメクリエイター。2000年問題の噂からパソコンに興味を持ち、絵を描くソフトを使ったことをきっかけに、アートの世界に足を踏み入れる。自身のがん闘病を題材にした作品「キャンサーパンサー」で話題となり、そのユニークな表現スタイルで「笑い」と「リアル」をつなげる作品を作り続けている。
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