vol.102

June 15, 2026

変わらない味を守るために、変わり続ける。
「河内屋」の新しいかまぼこづくり。

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富山県民の食卓やお祝い事に欠かせない“かまぼこ”。富山県魚津市に本店を構える「河内屋」は、富山駅や金沢駅のお土産としても人気の老舗です。家業を継ぐ使命感を胸に、伝統を守りながらも枠にとらわれない新たな商品づくりに挑戦し続けているのが、専務取締役の河内廷紘(かわうち ただひろ)さん。一度は県外の企業で働き、再び地元へ戻ってきた河内さんに、かまぼこへの想いと、中高生に向けてのメッセージを伺いました。

「他にはないもの」を作り続ける、河内屋のかまぼこ。

――「河内屋」はどんなお店ですか?

河内さん:1947年に創業した富山のかまぼこ専門店です。富山県内にはかまぼこのメーカーさんが15社ほどあるのですが、実は当社が一番歴史が浅く、新しい会社なんです。だからこそ「他社と同じものを作っても仕方がない」と、かまぼこの上に寿司ネタを乗せた「鮨蒲(すしかま)」や、スティックタイプの「棒S(ボウズ)」など、オリジナルの商品づくりを目指してきました。

――「河内屋」を継ごうと思ったきっかけを教えてください。

河内さん:幼い頃から河内屋とかまぼこが日常の一部でした。繁忙期には手伝いもしていて、自分たちのかまぼこが多くのお客様に愛されていることが誇らしく、「絶やすわけにはいかない」という使命感を小さい頃から持っていました。高校生の時、2代目の祖父が亡くなる直前、病床で強く握手を交わし家業を託されたことも、大きなきっかけですね。

――お店を守り続けたい背景には、どんな想いがありますか?

河内さん:魚津で過ごす中で、昔よく食べていた和菓子屋さんや定食屋さんが、跡継ぎがいなくて廃業してしまうのを見て、すごく寂しい気持ちになったんです。記憶にある味がなくなってしまうのは寂しいと感じたからこそ、お客様に覚えていただいている味をそのまま生き続けさせたいという想いがより強くなりました。

外の世界を知ったからこそ、見える景色がある。

――一度は県外の企業で働かれていたそうですね。

河内さん:はい!新卒で、東京にある食材の宅配サービスを手がける企業に入社し、6年ほど働きました。ちょうどベンチャー企業から、多くの人に知られる大きな企業へと成長していく時期に立ち会えたことは、自分にとってとても大きな経験でしたね。

――その経験は、今どんな形で活きていますか?

河内さん:一番大きいのは、「お客様目線で考える」という視点が身についたことですね。商品を作っていると、どうしても作り手の都合で考えてしまいがちなんです。でも、「これってお客様にとって嬉しいことかな?」「お客様の困りごとを解決できているかな?」と、常に立ち止まって考えるようになりました。

――一番やりがいを感じる瞬間はいつですか?

河内さん:やはり、お客様から直接感想をいただく時ですね。催事などで試食をしていただいたお客様から「美味しい!」「こんなかまぼこ食べたことない!」と声をかけていただきながら買っていただけると、自分たちの商品は自信を持って届けられるものなんだなと実感します。

富山の食文化を、次の世代へ。

――富山の「かまぼこ文化」について、中高生にも知ってほしいことはありますか?

河内さん:富山のスーパーではかまぼこが下段から上段までズラーっと並んでいますが、東京などでは練り物売り場がそれほど目立つ場所にはありません。うどんに入れたり、給食に出てきたりと、日常的にかまぼこを食べるのは富山ならではの文化です。この文化がなくなってしまうのは非常に悲しいことなので、ぜひ皆さんも地元の誇りとして大切にしてほしいですね。

――今後、挑戦していきたいことを教えてください。

河内さん:河内屋の使命は「新しい商品づくり」だと思っています。お客様のニーズは変わっていくので、今の商品に固執せず、チャレンジを続けたいです。また、海外の方にもかまぼこの魅力を伝えたいですね。かまぼこ独特の食感は好き嫌いが分かれるところもあるので、国境を越えて親しみやすい新しいかまぼこの形を作っていけたらと考えています。

――最後に中高生へメッセージをお願いします!

河内さん:ぜひ一度、富山から「外の世界」へ出てみてください。離れて初めて、地元のありがたみに気づくこともあると思います。これからの時代は、選択肢が広がるからこそ、いろいろなことに挑戦して、心から情熱を持てるものを見つけてほしいなと思います。どんなにAIなどが進んでも「人に寄り添う力」は必ず活きてきます。人との関わりを大切に、自分の道を見つけてください!

 河内屋

河内屋 

富山県魚津市に本店を構える、1947年創業のかまぼこ専門店「河内屋」。富山の食卓やお祝い事に親しまれてきた味を守りながら、かまぼこに寿司ネタをのせた「鮨蒲」やスティックタイプの「棒S」など、自由な発想の商品づくりにも挑戦している。変わらないおいしさを大切に、富山のかまぼこ文化を次の世代へ届け続けている。

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