vol.40
November 15, 2023
富山のクリエイティブシーンに影響を。
学生クリエイター「二上晴君」。
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先日開催された富山のデザインコンペADC展の学生部門で見事入賞を果たした、富山大学芸術文化学部4年生の二上 晴君さん。彼の作品やアイディアの背景には、どのような物語があるのか。普段の学生生活から高校時代、そして今後の展望に迫ります。
ADC展への挑戦と作品の背景。
――普段学校ではどのようなことを学ばれているのですか?
二上さん:普段は、デザインの基本から多岐にわたる分野まで幅広く学んでいます。多くの美術大学が絵画や彫刻など特定の分野に分かれている中、富山大学では油絵や鍛金なども含めた幅広い技術を学ぶ機会があります。さらに、議題に沿って各々がデザインした作品をプレゼンしたり、地域の団体・企業から依頼された議題で行う学生コンペにも参加しています。
――今回、ADC展に出展したきっかけは何だったんでしょう?
二上さん:実は、ADCには以前から学生会員として参加していましたが、作品を出展する機会はありませんでした。今まであった学生会員制度が廃止され、その代わりに今年から新設された学生部門が出展のきっかけです。学生部門ができたことで、私たち学生も作品を公に披露できるようになったんです。
――受賞された作品「FACE」の思いを教えてください。
二上さん: 顔(FACE)というのは、言語を介さないコミュニケーションの手段として非常に表現の幅が広いですよね。異なる言語を話す人同士でも、顔の表情を見れば大体の感情は理解できます。私はその人間としての象徴的な側面に注目し、顔のパーツを意図的に省略することで、見えるものをより記号的で単純に表現しました。
才能の原点。
――いつ頃からデザインに関心を持つようになったんですか?
二上さん:小学生の頃、LINEで全国の人と繋がるのが流行っていました。そのコミュニティの中で”役職”があり、私はアイコンを作る役職でした。今思えばそれがデザインへの最初の一歩で、高校でデザイン科に進学したのもその流れで自然と…。デザインに関わることが本当に楽しくて、大学に入ってからは自主制作も積極的に行っています。
――高校時代はどのような学生生活を過ごしていましたか?
二上さん:高校では吹奏楽部に所属していました。部活動で年に1回開催される定期演奏会をただのコンサートにとどまらせず、ショーのように演出することにチャレンジしていました。曲の紹介にストーリーを加え、寸劇のような要素を取り入れることで、観客に楽しんでもらえるよう工夫を凝らしていました。
――学生ながらに、そのような大胆な試みをするなんて立派ですね。
二上さん:その頃から、子どもがやることと大人がやることに区別をつけることに疑問を感じていました。ものづくりにおいては、学生だろうが大人だろうが、クオリティに変わりはないと思っています。小学校の先生から、何事も中途半端にせずに本格的に取り組む意識を学びました。その精神を持って、学生でも大人に負けないような演奏会を目指していたんです。
自分の未来を切り開くのは自分。
――過去に制作した作品で、特にお気に入りのものはありますか?
二上さん:氏原しおりさんの鍛金展「変わりゆくもの」のために作成したポスターとDMですね。シンプルながら、展示会のコンセプトをダイレクトに伝えるデザインになっており、これまで制作した中で最も満足している作品です。
――大学卒業後の進路は決まっていますか?
二上さん:卒業後は芸文ギャラリーで働く予定です。展示の企画やフライヤー、DMのデザインなど、幅広い業務を手がけます。ギャラリーでの仕事以外にも、フリーランスとしての制作活動も続けていきたいと思っています。人々に感動を与えられるクリエイターを目指していきたいです。
――最後に富山の中高生のみなさんへメッセージをお願いします!
二上さん:社会には進路に関する様々な価値観がありますが、偏差値の高い学校に行くことや大企業に入ることが全てではないと思います。大切なのは、自分が何をするか、どんな創造をするかです。どんな経歴を持っているかよりも、与えられた環境で自分が実際に行動することが、もっとも重要だと感じています。自分自身のクリエイティブな行動が、未来を切り開く鍵になるはずです。
二上 晴君 Futagami harukimi
富山県富山市出身。富山大学在学中に「2023 TOYAMA ADC展」で学生部門入賞を果たした才能あるクリエイター。卒業後は芸文ギャラリーで働きながらフリーランスでの活動を目指しており、富山のクリエイティブシーンに新たな動きを見せる。
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