vol.91
December 31, 2025
人が「通り過ぎる駅」から「留まる駅」へ。
富山いずみ高校が創る、南富山駅の未来。
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「南富山駅の周りを、もっと人が集まる場所にしたい」。そんな想いで活動しているのが、富山いずみ高校総合学科の生徒の皆さんです。昨年度から続くプロジェクトを引き継ぎ、今年は駅の隣にコミュニティスペースを開設したり、地元パン屋とコラボ商品を開発したりと、活動の幅を広げてきました。自分たちで仮説を立て、地域の人を巻き込みながら進める探究活動について、プロジェクトメンバーの皆さんにお話を伺いました。
南富山駅を、人が集まる場所へ。
――今年の活動テーマについて教えてください。
桝田さん:今年のテーマは、南富山駅周辺に人が集まる場所、いわゆる滞留空間をつくることです。2つのグループに分かれて別々の企画を進めているのですが、僕たちのグループでは、駅のすぐ隣にある北陸アート院の2階をお借りして、12月に多目的スペース「Flatto(ふらっと)」を期間限定でオープンさせました。
――なぜ人が集まる場所が必要だと考えたのですか?
桝田さん:8月に行われた納涼祭で、南富山駅を利用する地域の方々にアンケートを取ったところ、利用者には中高生や親子連れが多く、「人との交流が大事」という声が多く寄せられました。それなら、地域の人や学生が気軽に立ち寄れる居場所を、僕たち自身でつくろうと考えたんです。
――「Flatto」ではどんなことができますか?
桝田さん:小学生から高校生まで、友達同士でも一人でも、子どもは親子でも利用できるスペースです。机やイス、Wi-Fi、コンセントがそろっているので、勉強やデスクワークはもちろん、お菓子やドリンクを囲んでおしゃべりを楽しむこともできます。ボードゲームも用意していて、過ごし方は本当に自由です。電車の待ち時間や送迎の合間など、気軽に立ち寄ってもらえたら嬉しいです。
「知名度不足」からの逆転を狙う、新商品開発。
――空間づくりに加えて、「HARE/PAN」とのコラボも進んでいるそうですね。
冨樫さん:はい、昨年の活動に続いて、新商品の開発を行っています。今年のターゲットは、私たちと同じ10代です。中学生へのアンケート結果をもとに、インスタ映え、ボリューム、安さを重視した商品を考えています。昨年のメロンパンはとてもおいしかったのですが、中高生にとっては少し高かったので、今年はお小遣いでも買える価格を目指して調整中です。
――商品開発を進める中で、見えてきた課題はありましたか?
冨樫さん:実は、南富山駅の利用者にアンケートを取ったところ、約84%の人が「ハレパンを知らない」と回答したんです。正直、新商品を作れば自然と売れると思っていましたが、そもそもお店自体が知られていなければ意味がないと気づかされました。
――知名度が低いことが分かって、意識の変化はありましたか?
冨樫さん:ただ商品を作るだけでなく、どう届けるかまで考えるようになりました。商品開発と並行して、どうすればお店を知ってもらえるのか、PRの方法も必死に考えています。企業の方とも密に連絡を取り合いながら、本当に実現できるのかを一つずつ確認して進めるのは大変ですが、その分すごく勉強になっています。
「仮説→検証」で見えた、南富山駅の未来。
――印象に残っている出来事はありますか?
桝田さん:10月に中間発表会があり、連携企業や地域の事業所の方に向けてポスターを使い、これまでの進捗を発表しました。その際に、自分たちの仮説に対して具体的なフィードバックをいただき、仮説を立てて検証していくことの大切さを実感しました。6月の活動開始当初は何をすればいいか分からない状態でしたが、発表を通して考えを見直し、少しずつ前に進めるようになったと思います。
――活動を通して、目指す姿はありますか?
桝田さん:南富山駅は利用する人は多いですが、駅を素通りしてしまうことがほとんどです。僕たちの活動がきっかけで、「ちょっと立ち寄ってみようかな」と思う人が増え、地域の人と学生が自然に交流する、そんな温かい風景が生まれたら嬉しいです。
――最後に、同世代の中高生へメッセージをお願いします!
桝田さん:探究活動って「面倒くさい」と思われがちですが、社会に出て役立つ実験ができるのは、今しかない貴重なチャンスだと思います。やってみると、意外と楽しいですよ!
冨樫さん:自分たちのアイデアが形になり、地域の人に喜んでもらえる体験は本当に特別です。ぜひ、私たちの活動を応援してもらえたら嬉しいです!
【関連リンク】
▼昨年のプロジェクトについてはこちら!
https://netz-wakumag.jp/backnumber/people/64
富山いずみ高等学校|総合学科
富山いずみ高校総合学科は、南富山駅周辺をフィールドに、「人が立ち寄り、交流が生まれる場所づくり」をテーマとしたプロジェクトを展開。本年度は、コミュニティスペースの企画・運営や地元企業との商品開発などを通して、地域の人々と関わりながら実践的な学びを深めてきた。仮説と検証を重ね、自分たちのアイデアを社会につなげる力を育んでいる。
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